SLTAのZ得点化を試みた引用文献.         home
     高次脳機能研究創刊から分析
           参照させていただいたことに対し深謝します.
           補足説明は頁最終行にあります.

 A029: 国立淳子, ほか: 流暢な再帰性発話と非流暢な命題的発話が混在した一失語例について, 8; 330, 1988.
 原著では
    非標準的流暢性全失語とBroca失語との混合失語
 ☆: 中度 (X=50.5)
   「聴理解」と「発話」間に有意差は見られない
 ⇔
        ↑「読む」 ⇔ 「書く」↓
 考察 
 
 A028: 大塚晃, ほか: 特異な言語症状の経過を示した老年痴呆の一例, 8; 301, 1988.
 原著では
  超皮質性運動失語
 ☆: 重度 (X=43.9)
   「聴理解」と「発話」間に有意差は見られない
 ⇔   ↑「聴く」「話す」 ⇔ 「読む」↓
 考察: 
 
 A027: 大江康雄,ほか: 道具の強迫的使用の一例, 8: 285, 1988.
 原著では
     軽度の喚語困難は認められると記載はあるが、失語の有無の記載はなし.
 ☆: 軽度(X=55.7)
 ⇔  ↑「動作」 ⇔ 「ポインティング」↓
    
    「数字」「計算」は明らかに他の多くの側面に比し低いことが観察される.
 考察:
     強迫的の辞書的意味解釈
   (医)つまらない考えや感情などが頭にこびりついて、抑えようとしても不可能な症状・・・・とあります
   「強迫的」の意味と、「動作」と「ポインティング」の関係はあるか知りたい
 
 A026: 波多野和夫,ほか: 強迫的行動について, 8: 254, 1988.
 原著では
     超皮質性感覚(または混合)失語
 ☆: 中度(X=53.1)
       「喚語」と「聴理解」に有意差は見られない.
 ⇔  ↑「動作」 ⇔ 「書算」↓ 

     「計算」「数字」は他側面に比較し良好
考察 指さし行為は良好だが書くという行為は比較して困難 
 
 A025b: 須山信夫,ほか: 左視床出血により Gerstmann 症候群を呈した1例, 8: 238, 1988.
 原著では
     軽度の健忘性失語
 ☆: 中度 (X=53.2)
 ⇔  ↑「復唱」「話す」 ⇔ 「書く」↓
    ↑「字なし」「発話」 ⇔ 「数字」「計算」↓
 考察:
 
 aA025a: 須山信夫,ほか: 左視床出血により Gerstmann 症候群を呈した1例, 8: 237, 1988.
 原著では
    超皮質性感覚性失語
 ☆: 中度 (X=45.7)
 ⇔  以下の項目はℤ得点が40点以下、つまりかなり重度である
     「読解」「読む」「漢字」「言語理解」「ポインティング」「ノンスピーチ」

     軽度は「復唱」「音読」「発話」

     「聴理解」と「発話」間には有意差は見られない.
 考察: かい離している能力が顕著.
 
 No.024: 樋口加津子,ほか: 構成失書の一例における文字知覚, 8: 171, 1988.
 原著では
   構成失書
 ☆: s59/9/26 中度(X=48.9)
   s60/2/19 中度(X=50.2)
 ⇔   ↑「発話」「話す」「復唱」 ⇔ 「書能力」「書く」「動作」「計算」↓
      「仮名」「漢字」間には有意差は見られない
 考察:
 
 No.023: 佐藤直樹, ほか: 左半側空間失認に交叉性失語症を合併し、リハビリ効果を認めた画家の一例, 8: 165, 1988.
 原著では
         交叉性失語
    一回目 重度の運動性失語
    二回目 中等度に改善
 ☆: 一回目: 重度 (X=42.3)
   二回目: 中度 (X=49.2)
 ⇔  一回目
  ↑「読解」「ポインティング」 ⇔ 「発話」「計算」↓
    両回とも「発話」と「聴理解」に有意差は見られていない
 考察:
 
 No.022: 松本幸子,ほか: ライ症候群による小児失語の1例, 8: 5,1988.
 原著では
    小児失語
 ☆: 一回目 重度 (X=34.3)
   二回目 重度 (X=41.2)
   三回目 中度 (X=46.5)
  重症度算出は小児失語を考慮していない.
  各側面は確実に改善していることがわかる.
 考察:
 
 No.021: 内山千鶴子,ほか: LuriaのSemantic Aphasiaの一例, 7: 321, 1987.
 原著では
    LuriaのSemantic Aphasia
 ☆: 一回目  中度 (X=46.6)
   二回目 中度 (X=54.1)
 ⇔ 一回目:
    「話す」「発話」「喚語」は他の側面と比較し有意によい
    ↑「聴覚のみ」 ⇔ 「聴覚・視覚」「視覚のみ」↓
    ↑「文字媒体なし」 ⇔ 「文字媒体あり」↓

   一回目から二回目は
     「動作」(口頭命令・書字命令)が劇的に改善している

   計算は二回とも重度のまま、他の側面は中度軽度に改善している   
 考察:
 
 A020: 脇坂圭子,ほか: 二方向性障害を持つ健忘失語の一例,7: 308, 1987.
 原著では
     著明な喚語障害による健忘失語
 ☆: 中度 (X=50.4)
  ⇔   ↑「復唱」 ⇔ 「聴理解」「音読」↓
      「計算」「数字」は平均値と比較し明らかによい.
      「喚語」と「聴理解」間に有意に差は見られない.
 考察: 著明な喚語障害はみられない
 
 No.019: 内山千鶴子,ほか: 音声言語と文字言語の半球優位性が分離していると考えられる1例, 7: 261, 1987
 原著では
    発症時から軽度
    3ヵ月目: 極く軽度の健忘失語
 ☆: 発症1ヵ月目: 重度 (X=44.0)
   発症3ヵ月目: 中度 (X=49.4)
   書字能力(計算、数字をふくむ)は重度
 ⇔ 発症1ヵ月目
     ↑「話す」 ⇔ 「読解」「読む」↓
     ↑「復唱」 ⇔ 「聴理解」「音読」「仮名一文字」↓
     ↑「聴覚のみ」 ⇔ 「聴覚・視覚」「視覚のみ」↓
     ↑「文字媒体なし」 ⇔ 「文字媒体あり」↓
  発症3ヶ月目
     ↑「復唱」 ⇔ 「仮名一文字」↓
     ↑「文字媒体なし」 ⇔ 「文字媒体あり」↓
 考察: 書字能力を考慮するか否かの差異
    失語の重症度は書字能力も入れて勘案すべき.
 
 A018: 杉本啓子,ほか: 漢字に選択的な失書失読, 7: 168, 1987.
原著では
    失語症は否定
 ☆: 軽度 (X=59.4)
   -1標準偏差を下まわる課題があり.
 ⇔ どの課題間も有意差なし.
 考察:
 
 No.017: 北條敬,ほか: 線条体失語の臨床と予後, 6: 1160, 1986.
 原著では
    「線条体失語」もしくは「被殻失語」
 ☆: 一回目: 中度 (X=53.1)
   二回目: 軽度(X=59.0)
 ⇔  ↑「仮名一文字」 ⇔ 「書取」↓
    「計算」「数字」は明らかに軽度.
 考察:
 
 No.016: 鶴岡はつ,ほか: 右側および左側の2度に渡る視床出血により文意失語様症状の出現した1症例, 6: 1092,1986.
 原著では
    当初 「超皮質性感覚失語」に分類される
        発症五か月頃から「文意失語様症状」へ移行、軽度失語の残存は否定できない
 ☆: 一回目: 中度 (X=45.7)
   二回目: 軽度 (X=57.7)
   三回目: 軽度 (X=61.6)
 ⇔  一回目について
    ↑「発話」 ⇔ 「読む」「書く」「聴理解」↓
    ↑「復唱」 ⇔ 「聴理解」↓
    ↑「聴覚のみ」 ⇔ 「聴覚・視覚」「視覚のみ」↓
    ↑「発話」 ⇔ 「ポインティング」「書字」↓
     感覚失語に分類される
 考察: 「聴覚のみ」「復唱」は当初からほとんど問題ないレベル.
    「聴覚のみ」がよいと改善の可能性が高くなるという仮説は?
    一回目の24.課題の得点はカウント1として計算した
    一回目二回目の重症度記載なし
 
 No.015: 能登谷晶子,ほか: Luriaの聴覚--記憶失語を呈した1例, 5: 913,1985.
  原著では、
     Wernicke失語に属するだろう、LuliaのAcoustic-mnestic aphasiaに相当
 ☆: 一回目: 中度 (X=47.1)
   二回目: 軽度 (X=58.7)
 ⇔  一回目
    ↑「喚語」             ⇔ 「復唱」「聴理解」↓
    ↑「話す」「読解」「計算」     ⇔ 「聴理解」↓
    ↑「読む」「話す」「書く」「計算」 ⇔ 「聴く」↓
    ↑「視覚のみ」          ⇔ 「聴覚・視覚」゜「聴覚」↓
    ↑「音読」             ⇔ 「復唱」「書取」↓
    ↑「数字」             ⇔ 「字なし」↓
  二回目
    ↑「書字」             ⇔ 「動作」「発話」↓
    ↑「音読」             ⇔ 「復唱」↓
    ↑「書く」「計算」         ⇔ 「聴く」↓
    ↑「書く」             ⇔ 「話す」↓         
 考察: 
   一回目は、「喚語」と「復唱」に明らかに有意差がみられ「復唱障害」が、
         また「話す」と「聴く」に明らかに有意差が見られ、「感覚(性)失語」があると判断される.
 
 A013b: 宇野彰,ほか: 訓練モダリティー別呼称改善のメカニズム(Ⅰ), 5: 894,1985.
 原著では
    症例2: 症例1に非常によく類似の失語症
 ☆: 中度 (X=53.2)
    「聴理解」と「発話」間に有意差は見られない
 ⇔     ↑「聴く」「読む」「計算」 ⇔ 「話す」↓
 
 
 A013a: 宇野彰,ほか: 訓練モダリティー別呼称改善のメカニズム(Ⅰ), 5: 894,1985.
 原著では]
   症例1: 中等度の運動失語
 ☆: 中度(X=52.4)
    「聴理解」と「発話」間に有意差は見られない
 ⇔   ↑「聴く」「読む」 ⇔ 「話す」↓
     ↑「漢字」    ⇔  「字なし」↓
 
 
 A012: 遠藤美岐,ほか: 失文法を主症状とする右利き交叉性失語の1例,5: 888, 1985.
 原著では
    軽度運動型失語の一型
 ☆: 軽度(X=57.8)
     「発話」と「聴理解」間に有意差はみられない
 ⇔  ↑「話す」「書く」「字なし」「仮名」「単語」「文」「聴理解」 ⇔ 「計算」「数字」↓
      
 
 A011: 能登谷晶子,ほか: 右手に物品の強迫的使用を呈した1例,5: 766,1985.
 原著では
    超皮質性運動失語に近い症状
 ☆: 中度(X=51.4)
  ⇔   ↑「話す」 ⇔ 「聴く」「計算」↓
       .
  考察:
 
 A010: 下山一郎,ほか: 右利きで失語を呈さなかった左側頭葉T1後部の脳動静脈奇形の1治験例,4: 672, 1984.
 原著では
    失語を呈していない
 ☆: PRE-OPE:  軽度(X=62.4)
   POST-OPE:   X=62.7
 ⇔ .
  考察: PRE-OPE成績は、「-1標準偏差」値を下まわる課題があるので軽度失語と判断される
 
 A009: 吉田玲子,ほか: 右頭頂ー後頭葉損傷による論理ー文法的障害[ルリヤ]の1例,4: 666,1984.
  原著では
     軽微な語想起困難、軽度の失書(漢字の健忘)、失算、論理-文法的障害
 ☆: 軽度 (X=62.0)
         ↑「書字」⇔「ポインティング」↓ のみ有意差が見られた.
 
 A008: 松原三郎,ほか: 語義失語を呈した初老期痴呆の1例,4:590,1984.
 原著では
     語義失語
 ☆: 軽度(X=55.9)
  ⇔  計算能力は他のすべての側面に対し有意に良い
    計算以外のすべての側面は、有意差なし
  
 A006: 鶴岡はつ,ほか: 左側視床小出血による失語症の1剖検例,3:409,1983.
 原著では
  一回目: 失語症状みられ計算障害が著明
  二回目: 失語症ほぼ消失、計算障害と構成障害が残存
  ☆: 一回目: 中度(X=50.1)
    二回目: 軽度(X=59.1)
   一回目 
  ↑「聴理解」「話す」「読む」「ポインティング」「発話」「復唱」「音読」 ⇔ 「書く」「書取」↓
                                 ↑「スピーチ」 ⇔ 「ノンスピーチ」↓
                              ↑「文字媒体なし」 ⇔ 「文字媒体あり」↓
   二回目
                                   ↑「動作」 ⇔ 「ポインティング」↓ 
 考察: 初回は失書障害がみられる. 計算障害は突出していない.
 
 No.005: 伊林克彦,ほか: 一過性の失語症と精神機能低下を来した両側性視床梗塞の一例,3:489,1983.
原著では 
  一回目: 中等度の失語症
  二回目: 語想起に軽度の困難
  三回目: 書字と計算に軽度の低下
  ☆: 一回目: 中等度(X=52.9)
    二回目: 軽度 (X=57.3)
        「計算」「数字」が中度で、これ以外はすべて軽度
   三回目はプロットが不明な部分があり未計算
    一回目のみ: ↑「読解」「話す」「聴理解」「文」「仮名」 ⇔ 「計算」「数字」↓
    考察: 一回目は失算障害は他の側面に比較して有意に差があったといえる
 
 A004: 西川隆,ほか: 皮質聾の一症例,3:479,1983.
 原著では
   症例: 皮質聾
   ☆: 軽度(X=55.8)
    ↑「喚語」「話す」「読解」「書く」「計算」 ⇔ 「聴理解」↓
   ↑「書取」                  ⇔ 「仮名一文字」↓
   ↑「文」                   ⇔ 「仮名」↓
    考察: 仮名の障害も観察される
 
 A003: 杉本啓子,ほか:純粋失読を呈した Polyglot の一例, 2: 336,1982.
  原著では 
   症例: 純粋失読
  ☆: 軽度(X=58.2)
    ↑「書く」  ⇔ 「読む」・「読解」↓
   ↑「書字」 ⇔ 「ポインティング」↓
   考察:
 
A002 安積園子,ほか:呼称と漢字音読の過程 - 一室語症の訓練経過 - ,1: 173,1981 
原著では
  症例:超皮質性感覚失語の痕跡を若干とどめた健忘失語
  ☆: 軽度(X=55.8)
    「発語」と「聴理解」の有意差はなし
 ⇔  ↑「仮名一文字」 ⇔ 「音読」↓       有意差有
    ↑「仮名」     ⇔ 「文」 「漢字」↓   有意差有
    ↑「計算」     ⇔ 「書く」 「読解」↓  有意差有
 考察:
 
 A001b 永江和久、ほか: 脳梗塞、脳出血における失語症状、脳波所見、CT所見の差異 ,1:157,1981
原著では
   症例2: 軽症Broca失語
   ☆: 軽度(X=61.1)
    「聴理解」と「発話」「喚語」間には有意差なし  .
     ↑「動作」 ⇔ 「ポインティング」↓ のみ.
    考察:
 
 A001a 永江和久ほか: 脳梗塞、脳出血における失語症状、脳波所見、CT所見の差異 ,1:154,1981.
原著では
   症例1: Wernicke失語
 ☆: 中等度(X=45.1)
    「聴理解」と「発話」間には有位差なし
 ⇔: 「計算」は他の側面より明らかに有意に軽度
    ↑「読解」 ⇔ 「聴理解」↓、「話す」↓
   考察:
 
 補足

   ○SLTA成績表の得点が一項目でも記載なしもしくは不備と感じられるものはZ得点化を試みていません.
    
   ○特定のグループを設定し、そのグループの粗点の平均値をプロットしたものも得点化を試みていない.

   ○グラフの見方詳細は論文をご参照ください.   

    ☆印:  Z得点化グラフから推測できること. 表題をクリックするとそのZ得点化グラフにリンクしています.

    ⇔印:  は各分類表内で有意差(10点以上差)がある項目です.

   ○全Z得点平均(全平均と略す)は、Ⅰ.聴く Ⅱ.話す Ⅲ.読む Ⅳ.書く Ⅴ.計算 の各Z得点平均の総平均とするよう変更した.

   ○分類中の名称が他と重複しないようにカテゴリー名を一部変更した.

      ①聴理解 1.2.3.4.

      ②読解   15.16.17.18.

      ③書能力 19.20.21.22.23.24.25.

      ④書算   19.20.21.22.23.24.25.26.27.

   ○Ⅰ.聴く(ℤ得点グラフ上「聴理解」)のℤ得点平均 が Ⅱ.話す(ℤ得点グラフ上「発話」)のℤ得点平均より

     有意に低いとき感覚失語、逆を運動失語とした
      

活動内容記録/あかぼし企画